循環器のよくある症状

むくみ・体重増加

むくみ

浮腫(むくみ)とは、皮膚の下にある皮下組織の部分に余分な水分がたまっている状態のことをいいます。浮腫の症状としては、手足や顔が腫れぼったくなるのが一般的です。重力の関係で水分は下へ落ちるので、通常の場合は足や足先に見られることが多いです。寝たきりの方の場合は常に背中側が下になっていますので、背中に浮腫が見られます。
浮腫の結果として体重増加を認めることもあります。
浮腫の原因として心不全や腎臓病、甲状腺機能低下症、深部静脈血栓症などの病気の可能性があるため、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。

検査

問診では症状がはじめて現れた時期、症状の内容や範囲の変化、むくみを起こすきっかけ、水分摂取量、基礎疾患、普段服用されている薬などについて伺い、むくみの状態を確認します。浮腫を起こす病気は幅広いので、心電図検査、超音波検査、胸部X線検査、血液検査などを行って、緊急性の高い病気の有無を確かめます。血液検査では、心不全の重症度を判断できるBNPや貧血の有無、腎臓の機能や肝臓の機能、甲状腺の機能などについて確認します。なお、血栓によるむくみが疑われる場合には、血液検査でD-ダイマー(D-dimer)を確認します。

体重増加

食事などの生活習慣を変えていないのにもかかわらず、数週間~数ヶ月のうちに体重が増えることもあります。その場合、身体のむくみが起こることもあり、「靴や指輪がきつくなった」のを機に、足や手足のむくみを自覚されるケースもあります。また、呼吸困難や息切れ、倦怠感や疲労感、動悸などの症状が同時に起こることもあります。
これらの症状を伴っている場合は、医療機関へ相談し、原因を見つけて治療する必要があります。

検査

特に急激に体重増加が認められた場合には、病気が原因の可能性もあります。身体診察、血液検査、尿検査、超音波検査やレントゲン検査などを行って原因となりうる異常がないか確かめていきます。

胸痛

胸痛について

胸部には心臓以外にも、肺や胸膜、食道、筋肉や骨などがあります。そのため胸の痛みの原因もさまざまあります。そのなかでも急性心筋梗塞、急性大動脈解離、肺塞栓症、緊張性気胸などは命に関わる病気であり、緊急で治療が必要となります。また、比較的頻度が高い病気には肺炎、胸膜炎、逆流性食道炎などが考えられます。

胸痛の検査

まずは問診で下記の内容を伺った上で検査を行い胸の痛みの原因を調べていきます。

  • どういった状況で胸が痛むのか
  • どういった痛みか(重苦しい、刺し込むような痛み、ピリピリ・ズキズキする痛み)
  • 痛みの範囲(ピンポイントで指せるか、手の平サイズに起こっているのか)
  • 運動時に悪化するのか

胸の痛みが持続している場合は急性心筋梗塞の可能性があり、早急に心電図を施行します。急性心筋梗塞は心電図のみで診断がつくこともありますが、変化が出ないこともあります。胸の痛みに対しては、血液検査や胸部レントゲン写真、心臓超音波(心エコー)検査などを組み合わせて行い、緊急性の高い病気がないかどうかも確かめていきます。逆流性食道炎などの消化器疾患が疑われる場合には胃カメラ検査も提案させていただきます。

動悸

動悸について

動悸とは、自分の心臓の拍動(心拍、ドキドキという動き)が自分で感じられる状態のことです。脈拍数が正常範囲内であっても、その脈拍がいつもと違うだけで動悸と表現されますので、どのような動悸なのかが大切です。加えて胸の痛みや息切れといった症状も出ることがあります。
動悸は不整脈であるものとそうでないものがあり、甲状腺の病気や貧血、精神的ストレスなど心臓以外の病気でも生じます。動悸を自覚している最中に心電図を記録することで診断可能になります。不整脈であった場合もすべてが病的とは限らず、治療が必要ない場合もありますが、なかには失神や心不全、脳梗塞等につながるものもあるため、しっかりとした検査が必要です。


動悸の検査

動悸の検査としては安静時の心電図、ホルター心電図(24時間心電図、1週間記録可能なタイプ)、心臓超音波検査、血液検査(貧血や甲状腺の機能、電解質)などがあります。その上で原因を調べ、治療の必要性についても評価します。
最近ではスマートウォッチで脈拍を測定することも可能であり、診断の手助けになることがあります。

息切れ

息切れ

息切れとは呼吸が苦しいと感じる状態です。全速力で走った後に息が上がってしまう状態を思い出すとイメージしやすいです。人によって呼吸の回数が増えたり、時々深呼吸しないとつらい感じがしたり、寝ている間に呼吸が苦しくなって起きてしまうこともあります。「息苦しさ」や「呼吸困難」も「息切れ」と同じ意味で使用されています。息切れの程度にはGrade0からGrade5までのスケールがあり、受診を勧める目安としてはgrade2以上となっています。

Grade0 息切れを感じない
Grade1 強い労作で疲れを感じる
Grade2 平地を急ぎ足で移動する、または緩やかな坂を歩いて登るときに息切れを感じる
Grade3 平地歩行でも同年齢の人よりも歩くのが遅い。または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのため休む
Grade4 約100ヤード(91.4m)歩行したあと息継ぎのため休む。または数分間、平地歩行したあと息切れのため休む
Grade5 息切れがひどくて外出できない。または衣服の着脱でも息切れがする
息切れの原因としては肺の病気、心臓の病気、血液の病気や内分泌の病気(ホルモン異常)などさまざまであり、息切れを自覚する場合は早めに医療機関を受診しましょう。

息切れの検査

息切れの原因を調べるにはまず問診を行い、息切れの発症時期や程度などを伺います。特に重要なのが発症時期であり、急に起きたのか、1か月以上前からなのかによって、考えるべき病気が変わってきます。
その他に血液検査や胸部レントゲン、心電図、心臓超音波検査などの検査を行います。