- このような症状ありませんか?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
- 睡眠時無呼吸症候群の原因
- 睡眠時無呼吸症候群を
そのままにしておくとどうなる? - 睡眠時無呼吸症候群の検査
- 睡眠時無呼吸症候群の診断基準
- 睡眠時無呼吸症候群の治療
(治し方) - よくある質問
このような症状
ありませんか?
本人が自覚する症状
- 日中の強い眠気
(仕事中・運転中にも眠くなる) - 熟睡感がない/朝起きても疲れが取れない
- 起床時の頭痛
- 集中力や記憶力の低下
- 気分の落ち込み・イライラ
- 夜間の頻尿
- 寝汗をかく
- 喉の渇き(口呼吸)
ご家族や周りの方から
指摘された症状
- 大きないびき
- 無呼吸(呼吸が止まっている)を指摘された
- 寝ている間に息苦しそうにしている
- 突然、息を大きく吸って目覚めるような動き
このような症状がある場合、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
自分では気づいていなくても、実はこの病気だったという方もたくさんいます。
まずは、次のセルフチェックでご自身のリスクを確かめてみましょう。
睡眠時無呼吸症候群の
セルフチェック
以下の項目で、あてはまるものがいくつあるか確認してみましょう。
あてはまる数が多いほど、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。
少しでも心配なことがあれば、お気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS:サス)とは寝ている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。
たとえば、10秒以上息が止まってしまう「無呼吸」や、呼吸がとても浅くなる「低呼吸」が、1時間のあいだに5回以上おこると、この病気の可能性があります。
この病気になると、大きないびきや、朝すっきり起きられない、昼間にすごく眠くなる、といった症状が出ることがあります。
睡眠時無呼吸症候群は
何科に行けばいい?
睡眠時無呼吸症候群の検査や治療を受けられる診療科は、内科、呼吸器内科、循環器内科、耳鼻咽喉科、睡眠外来、歯科・口腔外科、精神科などがあります。
この病気は、心臓や血管に負担をかけるため、循環器内科での診察もとても大切です。呼吸が止まる状態がくり返されると、高血圧、不整脈、心不全、脳卒中などのリスクが高くなります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群には、大きく分けて2つのタイプがあります。
1つ目は、空気の通り道(上気道)がせまくなってしまい、呼吸ができなくなる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」。
2つ目は、脳から「息をしなさい」という命令がうまく出なくなることで起こる「中枢性睡眠時無呼吸症候群」です。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因
このタイプは、次のようなことが原因で起こります。
- 肥満(体重が多い)
- あごが小さい
- 舌の根元がのどの奥に落ちこむ
(舌根沈下) - お酒を飲む
- 睡眠薬を使っている
- 鼻づまり(鼻炎など)
こうしたことで、のどの空気の通り道がせまくなり、息がしにくくなります。
また、子どもの場合は、アデノイドや扁桃が大きいせいで、寝ている間に呼吸が止まってしまうことがあります。
中枢性無呼吸症候群の
主な原因
こちらのタイプは、脳卒中や心臓の働きが弱くなっているときによく見られます。
ただし、なぜこのようなことが起こるのかは、まだはっきりとはわかっていません。
睡眠時無呼吸症候群を
そのままにしておくと
どうなる?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放っておくと、ふだんの生活にも、体の病気にも大きな影響をあたえることがあります。
日常生活への影響
眠っている間に呼吸が止まると、しっかりと体を休めることができません。
そのため、昼間に強い眠気を感じたり、集中力が続かなくなったりします。
たとえば、
- 仕事中にうっかり居眠りしてしまう
- 大事な会議でねむくなる
- 車を運転しているときに眠くなる → とても危険!
実際に、交通事故や電車の運転ミスが、睡眠時無呼吸症候群のせいで起きたケースもあります。
このように、安全にも関わる大きな問題になることがあります。
また、人によっては、気分が落ちこむ(うつ状態)や、よくねむれない、不安が強くなるといった心の症状、さらに男性では性機能に関わる症状が出ることもあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断は、2つの検査を段階的に行って調べます。
まずは簡易検査から始めて、必要があれば本検査に進みます。
簡易検査(アプノモニター)
まずは、ご自宅でできる検査を行います。
指先にセンサーをつけて、寝ている間の酸素の量や呼吸の状態を調べます。
特徴
- 腕に小さい機械をつけて、いつも通りに寝るだけです
- 自分でスイッチを入れて、朝になったら切るだけでOKです
- 検査の機械は、郵送で返せば完了です
- 結果は2週間くらいで出ます
費用
費用 | |
3割負担 | 3,000~5,000円程度(診察代込) |
本検査
(ポリソムノグラフィー(PSG))
簡易検査で無呼吸があるとわかった場合は、次にくわしい検査をします。
この検査では、睡眠の質・脳の働き・筋肉の動きなどもしっかり調べます。
特徴
- 検査は、病院に1泊(または2泊)入院して行います
- より正確に、無呼吸のタイプや重さを知ることができます
- 検査が必要な場合は、専門の病院をご紹介します
睡眠時無呼吸症候群の
診断基準
検査では、「1時間に何回、呼吸が止まったり浅くなったか」を数えて、無呼吸・低呼吸指数(AHI)という数字であらわします。
また、どのタイプの無呼吸か(閉塞性か中枢性か)も調べることで、あなたに合った治療方法を決めることができます。
重症度 | 無呼吸低呼吸指数(AHI) |
---|---|
軽度 | 5~20回 |
中等度 | 20~40回 |
重度 | 40回以上 |
睡眠時無呼吸症候群の治療(治し方)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法は、症状の軽さや重さに応じて異なります。
ここでは、軽度から重度までの治療法を説明します。
軽度〜中等度
(簡易AHI 40以下)
マウスピース
軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療には、マウスピースを使用する方法が一般的です。このマウスピースは、下あごを前方に出すことによって気道を広げ、空気の流れをスムーズにします。これにより、無呼吸やいびきの発生を減少させることができます。マウスピースは歯科医院で作成でき、患者さん自身が自宅で装着して使用します。
簡易AHI 40以上
重度の睡眠時無呼吸の方
CPAP
重度の睡眠時無呼吸症候群では、CPAP治療(経鼻的持続陽圧呼吸療法)が推奨されます。CPAPは、寝ている間に鼻や口に装着したマスクから気道に空気を送り、気道を開放します。これにより、無呼吸を防ぎ、いびきの発生を減らすことができます。CPAP療法は、睡眠中の呼吸をサポートすることで、日中の眠気を改善し、深い睡眠を実現します。また、高血圧の改善にも効果が期待されています。
CPAP治療は、簡易検査でAHIが40回以上、または精密検査(PSG検査)でAHIが20回以上の場合に適応されます。治療開始後は定期的に通院し、治療の進捗状況や体調を確認しながら、必要に応じて機器の設定を調整します。CPAP療法を適切に行うことで、患者さんの生活の質は大きく向上します。
費用 | |
3割負担 | 約4,000円/月 |
よくある質問
睡眠時無呼吸症候群は
どうやって気づく?
「いびきが大きい」「寝ているときに呼吸が止まっている」と家族に言われて気づく方が多いです。また、朝すっきり起きられなかったり、日中に強い眠気があったり、仕事や運転に集中できなくなることで受診される方もいます。ご自身で気づきにくいこともあるので、周囲の方の指摘がきっかけになることもあります。
シーパップ(CPAP)を
しないとどうなる?
無呼吸が続くと、体に酸素が十分に行き渡らず、心臓や血管に負担がかかります。その結果、高血圧や心臓病、脳卒中、糖尿病などのリスクが高くなります。日中の眠気による交通事故の危険もあります。CPAP(シーパップ)はこれらのリスクを減らすための大切な治療です。
睡眠時無呼吸症候群は
完治しますか?
体重が原因の場合、減量によって症状が改善することがありますが、多くの方では根本的に「治る」というよりも、上手にコントロールしていく疾患です。CPAPや生活習慣の改善を続けることで、日常生活に支障がない状態を保つことができます。