逆流性食道炎の症状と治療法について
「なんとなく胸やけが続く…」
「食後にのどがイガイガする…」
そんな症状がある方、それは逆流性食道炎かもしれません。
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流して炎症を起こす病気です。
近年、食生活の欧米化やストレスの増加などで、患者数が増え続けており、40代以降では特に多い疾患です。
この記事では、逆流性食道炎の代表的な症状、治療法、そして放置するとどうなるのかまでをわかりやすく解説します。
逆流性食道炎とは?
通常、胃の入り口には「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」という筋肉があり、胃酸が逆流しないようにブロックしています。
しかし、加齢・肥満・食生活の乱れ・姿勢などの影響でこの筋肉が緩むと、胃酸が食道に逆流し、粘膜を傷つけてしまいます。これが「逆流性食道炎」です。
よくある症状
逆流性食道炎の症状はさまざまですが、特に多いのが次のようなものです:
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・胸やけ(胸のあたりが焼けるような感じ)
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・のどや口まで酸っぱさがこみ上げる(呑酸)
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・みぞおちの痛み・不快感
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・のどの違和感・イガイガ感
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・咳や声のかすれ(特に朝)
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・食後にお腹が張る、気分が悪い
➡ 食道には「胃酸に対する防御力」がないため、逆流が繰り返されると炎症やただれが起こり、症状が慢性化していきます。
原因になりやすい生活習慣
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・脂っこい食事、甘いもの、刺激物の摂りすぎ
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・暴飲暴食、早食い
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・食後すぐ横になる習慣
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・肥満や便秘
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・アルコール・喫煙
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・ストレス、睡眠不足
胃カメラでの診断が確実
逆流性食道炎は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で診断が可能です。
食道の粘膜に炎症やただれ、潰瘍、びらん(粘膜のめくれ)が見られることがあります。
また、「バレット食道」という変化が見つかることもあり、定期的な検査が重要です。
➡ 当院では、鼻からの胃カメラや鎮静剤を用いた検査で、苦痛の少ない内視鏡検査を行っています。
治療法:薬物療法+生活改善
① 薬物療法(基本的な治療)
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PPI(プロトンポンプ阻害薬)
胃酸の分泌を強力に抑え、食道の炎症を改善します。
※例:オメプラゾール、ランソプラゾール など -
P-CAB(カリウムイオン競合型胃酸分泌抑制薬)
最近登場した薬で、より速効性と持続力があります。
※例:ボノプラザン(タケキャブ) -
H2ブロッカー
軽度の場合に使われる胃酸抑制薬。 -
胃粘膜保護薬
粘膜を保護して症状をやわらげます。
② 生活習慣の見直し
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・食後2〜3時間は横にならない
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・脂っこいもの・甘いもの・刺激物を控える
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・食事は腹八分目・よく噛んでゆっくり
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・体重を減らす(肥満の方)
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・寝るときは上半身をやや高くして寝る
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・禁煙・節酒を心がける
放置するとどうなる?
逆流性食道炎は、放っておいても自然に治ることは少ない病気です。
慢性化・再発を繰り返すと、次のようなリスクがあります:
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潰瘍や出血: 粘膜が深くただれ、出血することがあります
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食道狭窄: 炎症が続くと、食道が細くなり食事がつかえる
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バレット食道: 長期間の逆流で食道粘膜が変化し、食道がんの前段階になることも
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生活の質の低下: 胸やけ・不快感で睡眠や仕事に支障が出ることも
胸やけを感じたら、早めにご相談を
「たかが胸やけ」と軽く考えず、違和感が続く場合は一度ご相談ください。
早めに治療を始めれば、ほとんどの方は改善が見込めます。
当院では、胃カメラでの精密検査・的確な内服治療・生活指導まで一貫して対応しています。
症状がある方、自己判断で市販薬を続けている方も、ぜひ一度ご来院ください。